2005年07月05日

染み込む

季節の変わり目を街中に漂う匂いで感じたり、
ヘコんだ気持ちを奮い立たせるために、好きな香りの中に突っ込んで行ったりと、
生きて行く上では結構鼻の存在も馬鹿にできないと思う。
美味しいものを食べたり好きな音を聴いたりと、
ポジティブへ向かう方法はいろいろあれど、
匂ったり香ったりは何しろ手っ取り早いのが良い。

友人とビアガーデンに行ったときのこと。
なぜか「生中」という言葉がツボで、「生中」「生中」とアホのように注文した。
テーブルにはジョッキの山。
ビールは即排出される水道管のような便利な体をフル活用して、
飲んでは出し飲んでは出しを繰り返していた。
何度目かも忘れるくらいのトイレをこなし、手洗いの前に立つ。
温い水に濡れた手をハンドタオルで拭き、そのまま何となく顔の下半分に当てた。
すうっと息を吸い込むと洗濯物の匂い。うちの匂いだ。
その瞬間、酔いがパッと醒めた。

気づけば7月の上旬で、今年も半分が終わった。
半年前にはセーターやらコートやら着ていたことが信じられない。
重度の冷え性で、常に爪の根元が紫色になることや、
下手したら21世紀だってのに霜焼けを作ってしまう昭和チックな人間としては、
とにかく一刻も早く春を!いやなんならいきなり夏でも可!と思うわけです。
冬から春へ、春から夏へと切り替わるときにもまた匂いがして、
それを感じることができた瞬間は本当に心が躍る。
春になる瞬間は何となく埃っぽい。色でいえば山吹色で、暖かな空気。
夏を実感するのは夕立前後のあの湿っぽさ。
雷のオマケがつくところなんてさらに良い。夕立は大好きだ。

猫の寝込みを襲ってお腹に顔を埋めるのもやめられない。
どうしてあんなに温かで幸せな匂いがするんだろう。
これまたほんの少し埃っぽくて、でも干した布団の匂いのようでもある。
「うーおー!いい匂いー!たまんねえ!」等と叫びながら匂う匂う匂う。
鬼畜だ。

会社員時代、給湯室で女の先輩たちと話をしていたときのことだ。
高橋さん(男・実名)がプラッと入ってきた。
私の前を通り、多分ゴミか何かを捨てた。
すると嗅いだことのある香り。普段はつけない香水をつけていた。

社内恋愛の相手とデートだな!今日は金曜だしな!
隠してるけど課の全員にバレてるぞ!社内メールでラブレター回してるんじゃねえ!

そんなことを思い、脳内でニヤニヤしながら「○○(香水名)だ」と呟いた。
高橋さんは「お前何で男の香水まで知ってんだよ!」とうろたえて、
「何かいやらしいヤツがいる!」と喚きながら出て行った。
いやらしいとは失敬な!と憤慨しながらも、
そういえば何でわかったんだろうと我ながら不思議に思った。
香水には全く詳しくない。自分がつけるものしか知らない。ましてや男物など。

しかしすぐに思い出した。
10代の頃、大好きだった一回り年上の男の人が好んでつけていた香りだった。
一瞬香っただけ、過去の一部に触れただけで、
通い詰めた東京の街や、歩きなれた坂道、とても広く見えたスーツの背中、
疲れて帰る電車の中の光景を一気に思い出した。
そして一生懸命すぎて今思うと泣き笑いな感じになる、あの頃の自分をも。

思い出ごとに鼻先をかすめる香りが違う。
嗅覚が最も思い出に染み込むものらしい。


散々書き散らかして今さら何だが、これ全然日記じゃないな。
いつものことだがごめんなさい。

posted by 6 at 15:43| 埼玉 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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