2005年06月08日

レコ屋

さっきまでゆずの告知キットと格闘していた。
今日発売のベスト盤用の物で、数枚のポスターと大量のフライヤーなどが入っている。
販促用に送られてくるわけだけど、効果があるのかはちっともわからん。
なぜなら外資系のデカいCDショップとは違い、うちは個人経営の小規模な店。
何かに似てると思ったがあれだ、おばあさんとかが居眠りしているタバコ屋。
1人で店番をしているところなんてそっくりだ。
カウンターでウトウトして、開いた自動ドアの音に驚いて目が覚めたりもする。
基本的に春の陽だまりのように長閑で暇な店だ。

しかしそんな店でも万引はある。
万引する人には特徴というか共通点があって、来店した瞬間にピンと来る。
いつも眠そうな顔をしていると言われるし、
実際に常に眠くてボーッとしているこの私にすらそれがわかる。

以前、高校生男子5人組をとっ捕まえたことがあった。
全員いかにも部活帰り、しかも運動部です的なバッグを肩に背負っており、
1人のチビっ子を除いて皆物凄くデカい。デカいというか長い。
しばらくそれぞれバラバラに店内に散っていたが、
いつのまにかその長い4人がカウンターの左手の棚の前に一列に並んで、
品定めをしていた。
私はカウンター内でPOPか何かの書き物をしていたが、
目の端で4人が何をしているかはなんとなく把握していた。
長いので物凄い圧迫感があったが、怪しい動きはなかった。
あと1人、残りのチビっ子はどこだと、店内を見回したが姿が見えない。
あれ?と首を伸ばして4人の方を見ると、いた。
チビっ子は4人の真ん中に挟まれるようにして立っていた。
カウンターからは見えないよう長さを巧みに利用して(って知らんけど)、
死角を作っていたのだ。
私がそれに気づいたまさにその瞬間、
そのチビは棚から抜いたCDをシャツの中に入れた。

何回経験しても汗が吹き出る瞬間で、しかも相手は高校生男子5人である。
やられたよ!どうするよこれ!店長に電話か?いや間に合うわけないな。
頭の中がグルングルンしながらも、とりあえずカウンターを出て、
壁のような5人の向こう側に回り、平静を装いつつそれぞれの手元辺りを覗いた。
5人は棚に並んだあたりから一言も発していない。
私の視線が意味するものも当然わかっており、緊張が伝わってくる。
もちろん私は私で緊張が沸点で、狭い店内が異様な熱気である。

5人が来店する直前に棚の整理をしていたため、
チビが立っていた場所からして盗ったCDは大体目星がついていた。
「ちょっとごめんなさいね」などと言いつつ、その場所の棚を見た。
やっぱりなかった。あるバンドのマキシシングル。かなり古い物だった。

チビは目が泳ぎっぱなしで他の4人もそのまま硬直している。
普通万引した人というのは、商品を盗ったら即店から出るものなのに。
これはいけるか?
思い切って訊いた。長いのが相手だとか、チビ混ぜると5人だとかは忘れていた。

私 「ごめんね。今、見えちゃったのね」
チビ「…いや、何もしてないです」

超狼狽。顔が真っ赤だ。

私 「シャツの中に入れたよね?」
チビ「意味がわかんないです」
私 「本当のこと言ってくれたら今回だけは誰にも言わない。店長にも黙っておく。
   だから嘘つかないで。万引はまずいよ」
チビ「…すいませんでした!」

呆気なく陥落。
シャツの中から防犯用の管理カードがついたままのCDを差し出した。

店内の緊張がふっと緩んだ瞬間だった。
私は思わず「もーっ!万引なんかすんじゃないよー!!!」と怒鳴った。
でもなぜか半笑い。反動で笑いが来てしまったようだった。
釣られて5人もバツが悪そうに笑った。
凄い緊張しただの○○(盗もうとしたCDのバンド)の身になれだの、
言ってどうすると思われるようなことを5人に散々言い散らかした。半笑いで。
「顔も覚えたし、今度しやがったらただじゃおかねえ」と宣言した。半笑いで。

5人は何度も謝って小さくなっていたが、帰り際、
「やべえ、緊張したら鼻水出た。ティッシュください」などと図々しくも言っていたので、
本当に反省したのかどうかはわからない。
「ちょっとあんた、ふざけんじゃないよ!」と言いつつも1枚やった私も私だが、
あれからあの5人は見ていない。
1度でも来店したお客さんの顔は自然と覚えるものなのだが、あれきりだ。

その5人がドアから入ってきたとき、チビだけが私の顔をじっと見た。
大きい声では言えないが、それが万引する人のいくつかある特徴の中の一つなのだった。
ちなみに当然店長にも報告した。
「頼むから危ないことだけはしないでくれ」と懇願された。


それにしても今日は暇だ。いやいつもだけど。
posted by 6 at 15:33| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。