2005年07月22日

にゃにゃこがいなくなった・1

(すみません、かなり暗いです。今回はどうぞ読み飛ばしてください)

今朝にゃにゃこが脱走した。

「にゃにゃこが外に出ちゃった!」と叫ぶ母の声に起こされた。
転がるように階段を降り慌てて外を見ると、
すぐそこ、手の届きそうな近くでにゃにゃこが草を食べている。
親の話によると、いつもほんの少し開けている大きな掃き出し窓の、
もうボロくなってしまって補修テープでしのいでいた網戸のわずかなたわみ、
そこから体を押し出すようにして出てしまったようだと。
冷静を装い「にゃにゃこー」と呑気な声を出し、こっちを見ていることを確認。
玄関に走りスニーカーを手に戻り、履いて窓から外に出た。
相変わらず草を食べている。病気のせいで胸焼けがするのだろう。

「落ち着け落ち着け」と口の中でモゴモゴ言いながら近づく。
でもこの距離と状態では捕まえられないこともわかり、
母に猫トイレ掃除用につかっているビニール手袋を持って来てもらった。
滑り止めのためだったが、病院にいくときにも使っていたものだったので、
警戒したのかさらに離れてしまった。
家の中に戻り、バスタオルをひっつかんで再び外へ。
家の隣は畑なのだが、そこは以前のにゃにゃこのテリトリーというか庭。
大きなとうもろこしの木(あれはもう木だ)の間に座り、私をじっと見ている。
私が近寄るたびに遠ざかる。
夏で生え放題になっている雑草も邪魔をして、逃走経路が凄く見づらいのだ。
にゃにゃこはそのまま小走りに逃げ、畑から家の敷地に戻り、
裏庭を通って隣家の方へと消えてしまった。

書いていても本当に悪夢を見ているようだ。長い夢だな。

今日はどうしても仕事を休めず、時間ギリギリまで粘って探したが、
そのときはそれっきり姿を見つけることができなかった。
しかし重苦しく出勤準備をしていたら、にーすけが畑の方を見て鳴いた。
「にゃにゃこいた?」と見に行くも、姿は見られずじまい。
いないよな…とがっかりしながら用意をしていたら、
にーすけがいた場所に今度は母が立ち、畑を見て「いた!」。
とうもろこしの木のさらに向こう側で、またも草を食べている。
「にゃにゃこー」と声をかけるとこっちを見るのだが、
そのまま(母いわく「悠々と」)歩いて行ってしまい、物陰に消えた。

2年近くをこの近辺で過ごしていたにゃにゃこは、
当然どこが快適で目に付かないのか等は知り尽くしているだろう。
多分日本一暑いこの場所で、日中に出歩くとは思えない。
夕方から朝方にかけてだ。重点的に探すのは。
どうせ最近はほとんど寝ていない。何も辛いことはない。

入院中、にゃにゃこの状態に改善は見られなかった。
それどころか退院直前には今までで最も悪い数値になってしまった。
毎日病院に通い、病室に人気がないのをいいことに、
1時間以上撫で、声をかけ、どうにかして食欲が出ないかと考え抜いた。
日に日に、多分数値云々よりもストレスでうつろになっていくにゃにゃこ。
回復することを信じて私のエゴでここに閉じ込めた。
でも多分、それはもう望めない。決めなきゃいけない。そのときが来たのだろう。

主治医が様子を見に来たときに言った。
「これ以上はもう無理なら、連れて帰りたい」
主治医は頷いて、退院の仕度を整えるために病室を出た。
家に電話をかけた。
「これからにゃにゃこを連れて帰る」、
だからにゃにゃこの部屋の床を拭いておいて。
そう言いたいのに後が言葉にならない。
受話器越しに、母の「もう良くなったの?」と弾むような声が聴こえる。
いい大人なのに小さく声を上げて泣いた。
どうしても言葉が出なくてしゃくり上げるだけの私に、
母も事情を飲み込んだのか口調が変わった。
「あんたちゃんと帰って来られるの?大丈夫なの?」
帰れるよと思いながら、
「もうこれ以上は厳しいなら連れて帰るって、私が言った」とだけ、
無理矢理口から押し出した。
母は「仕方ない。仕方ないね。その方がいいよ」と、
自分を納得させるかのように呟いていた。
posted by 6 at 16:09| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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